1:獅燕と謎の格闘 家

 

 7月下旬、9月に 開催される格闘ゲームの一大イベントである格闘神にエントリーされた格闘ゲーム作品を対象とした店舗予選が開かれていた。その予選対象作品の一覧にファイ ティングアリーナは書かれていなかった。

 

 原因のひとつとし て挙げられるのは、プレイヤー数である。作品によってはプレイヤー数が1万人規模になる物も存在する格闘ゲーム、オンライン対戦やゲーセンでの店内大会等 で盛り上がるタイトルも存在する。ファイティングアリーナに関してはプレイヤー登録方法が複雑である事に加え、実際の格闘家等もエントリーしている事がプ レイヤーの増えない原因とネット上では言われている。

しかし、プレイヤー数が多くても盛り上がりに欠ける格闘ゲームも少な からず存在するのは事実である。プレイ動画でも再生数が伸びているのは有名プレイヤーの物や店舗で行われた小規模大会、特定キャラのコンボ集等と言ったよ うな動画が再生数を伸ばしているのが現状である。

ファイティングアリーナは、その全てが総合格闘技等の試合を思わせる 動画で再生数はケタ違いとも言える。最低でも1万再生を記録し、その中でも獅燕が関係している物はランキングでも週によっては再生数ベスト10を独占する ような勢いがある。コミュニティも獅燕ファンクラブが複数存在し、その他にも上位プレイヤーのファンクラブコミュ、初心者育成目的の練習試合専門サーク ル、野良試合動画の観賞コミュニティ、獅燕のような女性プレイヤーを増やす方法を考える会、更にはファイティングアリーナの今後を考えるコミュも存在す る。ファイティングアリーナは設置箇所が草加市内限定―という事を踏まえても、100近いコミュニティがあるのは格闘ゲームとしても例がない。

「―それでも、新規 ライセンス申し込みが増える傾向は、6月現在でも横ばいになっており、現在も登録プレイヤーは100人を超える気配は―」

 運営委員会の会議 室では、今回の格闘神に落選した原因に関して議論をしていた。主な原因はプレイに必要なライセンスの取得方法が複雑である事、対戦相手が現れないとバトル が成立しない事…他にも色々と原因はさがせばあるのだが、それ以上に悩ませていたのが獅燕の存在だった。

「先行稼働から 200連戦全勝…しかも、この記録は今も継続中―」

「どの格闘ゲームに も有名プレイヤーが現れているのは良いとしても…彼女の存在は他の格闘ゲームとは違って、別の意味で脅威になっているのがネックか―」

「彼女の連勝記録が どれ位続くか―と期待しているユーザーがいるのも事実。下手に新規プレイヤー開拓の為だけに記録を止めると言うのも問題がある」

 会議の参加者から は、ユーザーから怪しまれない範囲で記録を改ざんすると言う案も出されたのだが、委員会が情報を操作していたという事実が発覚した際に信用を失う事は明ら かである…と断念された。

「絶対王者的な立ち 位置にいる獅燕…と言うのも悪くはないのだが、今後の為を思うとやむを得ないか」

 忠勝は何かを決断 したかのように、ホワイトボードに1人の格闘家を映し出した。

「この人物は、過去 に傭兵をやっていた経歴がある。獅燕討伐をこの人物に任せようと思っているのだが―?」

 何かに含みを持た せたような忠勝の発言を聞いて、獅燕の連勝記録を止められるのであれば…と。忠勝の意見に反対をするような参加者は【会議室内】ではいなかった。

 

「あの場では、獅燕 の連勝記録を意図的に止めた事実が出てこない対案が浮かばなかった事が忠勝の案を通した原因になるだろう―」

 会議終了後、ある 人物はパソコンで書類の整理をしていた事務員に対してつぶやいた。

「あのプロフィール は、明らかに何者かによって隠されている情報が多すぎるような気配がします。確かに、経歴不明と言う謎の格闘家が電撃デビューする例も少なからず存在しま すが…」

 経歴不明で新人選 手がリングに上がる事は稀に存在し、架空のキャラクターが実際にリングに上がる際も一部経歴不明というケースがいくつか存在する。それでも、今回の一件に 関しては謎の部分が多すぎる…と事務員は考えていた。

「君は、あのプロ フィールがアリバイ目的か何かでねつ造されていると…?」

 

 時はさかのぼり、1月下旬―。この日は女子キックボクシングの世界大会に出場する代表選手発表会があった。数日前に代表選手 選考会で無名の選手に敗れた一人の女性―彼女は所属ジムのオーナールームでジムオーナーと話をしていた。

「決勝で彼女に敗れ たと言う事実…それは間違いありませんが、その彼女が私よりも代表に相応しいかどうか―」

 長髪にモデルと見 間違えるほどの体格、彼女は自分が代表から外れた事よりも、戦歴が自分よりも下回る選考会で優勝した女性選手が代表に選ばれた事に不満があった。

「確かに、戦歴は 10戦で7勝と勝率を考えると向こうの方が若干上だが―」

 ジムオーナーも今 回の選考会には何か裏があるのでは…と思っていた。ファイティングアリーナが反社会的組織等に対して、一斉摘発とも言えるような行動をしている事が、組織 の影響力を強める為に他の競技等へ鞍替えする理由の一つになっている―。

「これも、彼女が元 超有名アイドルの―」

 彼女は本音をジム オーナーにぶつける。自分よりも戦歴が下の選手を代表に選んだ理由の一つに、元超有名アイドルのメンバーだった事が関係しているのでは…と。そして、最後 に数日の休養を取りたいとオーナーに申し出て、オーナールームを後にした。

 

 ジムを後にした彼 女は、ゲームセンターの前を通り過ぎようとしていたが…。

【プレイヤーは自分 自身!】

 彼女の目に留まっ たのは、ファイティングアリーナのロケテスト告知ポスター…。実際は、ロケテのポスターを使いまわしているだけの先行稼働と言う事は、後にネットで知った 事だった。

「見ていくだけな ら…」

 そして、彼女は獅 燕とクロームの試合を目撃する。その結果は獅燕の勝利―。自分と似た体格をした獅燕が総合格闘家タイプの相手を寄せ付けないような強さを見せていた事に彼 女は驚いた。

「これは…」

 気が付くと、彼女 はパンフレットを手にエントリーシートを書いていた。必要項目にはキックボクサーと書く。

「プロかアマチュア の選手…と言う事でよろしいでしょうか? そうなりますと、メディカルチェックに関しては不要と言う事になります―」

 どうやら、プロス ポーツ選手や格闘家等の場合はメディカルチェックがパスされるらしい。後日、証明書等のコピーを運営委員会に送ればライセンスが発行される。

「エントリーネーム に関しては本名以外でお願いいたします。リングネームで代用してもらっても構いません。実例は、既に何人かいますので―」

 本名でエントリー しようとしたが、弾かれてしまった。どうやら、それ以外のネームでエントリーする必要があるらしい。

「どうすれば…」

 彼女が後ろを振り 向くと、そこには別の対戦格闘ゲームが1セット置いてあった。それを見て彼女は閃いた。

「この名前ですか ―」

 スタッフがネーム の被りに関して調査をする。作業は数秒程で終了した。普通は数分かかるケースもあるのだが、数秒で終わるケースは滅多にない。

「特にネームに関し ても問題はありませんので、正式ライセンス発行までしばらくお待ちください―」

 翌日、プロ選手と しての身分証明コピーを運営委員会に提出、2日後には彼女の元にライセンスが郵送で自宅に送られてきた。送られてきたライセンスのネームにはランスロット と書かれていた。

 その後、正式稼働 となる4月までの先行稼働期間でランスロットはランキング3位にまで到達した。2位の獅燕、1位のプレイヤーであるチーフとは対戦する機会は恵まれずに正 式稼働の4月を迎えた。

「彼女は使えそうだ ―」

 ランスロットの試 合をギャラリーとして見ていた背広姿の人物が、彼女の戦歴を見て何かを閃いた。

 

 そして、運命の日 はやって来た。

 

 8月1日、黒髪に Tシャツ、スパッツと言う外見の女性がゲーセンの前に現れる。一目見ただけでは彼女の正体には気付かない。ボディービルダーを思わせるような体格をした女 性で、ファイティングアリーナのあるゲーセンに出入りする人物は1人しかいないはずなのだが―。

「既に4人待ち…と 言った所か」

 モニターで他のプ レイヤーが何人かエントリー済である事を確認する。彼女はライセンスをモニター付近にあるカード認識パネルにかざして、その後にゲーセン奥に設置された更 衣室の中に入っていった。

「エントリー済は5 人…か」

 一人の女性が更衣 室へ向かった直後、サングラスをかけたバーテンダーのコスプレをした女性がモニターをチェックする。そこには獅燕の名前も表示されていた。

「気が進まないが… これも仕事か」

 彼女はライセンス カードをモニター付近にあるカード認識パネルにかざす。

【当日限定カードを 確認しました―】

 モニターには、こ のような表示がされていた。基本的にライセンスカードの発行は登録制になっているのだが、サプライズゲストや全国大会予選でライセンス発行が間に合わな かったプレイヤー向けに当日限定のカードをレンタルしているのである。

 

 しばらくして、更 衣室から出て来たのは獅燕だった。先ほど更衣室に入っていった黒髪の女性の正体は、実は彼女だった。

「さて、私の相手は ―」

 獅燕の最初の相手 は、着替え中の試合で勝利した黄色いジャージのカンフー使い。

「データを見る限り では―上位には程遠いけど実力はあるようね」

 獅燕が手にはめて いるグローブをリング内のモニターに当てると、相手の直近5戦限定だが成績が自分の目の前に投影方式で表示される。これは相手側には全く見えない。反対 に、獅燕は相手が閲覧しているデータに関してはチェックする事が出来ない。

「過去5戦は…ベス ト20のメンバーとも戦っているのか。1つ前には総合格闘技でも有名なクロームを再び撃破している」

 彼は、過去にク ロームとも戦った事があるが歯が立たずにストレート負けになった経緯を持っている。それだけに、彼をあっさりと撃破した獅燕に関してはかなりの強敵だと彼 は認識した。

 

 しかし、かなりの 強敵である…と認識しただけでは獅燕を倒す事は不可能に近い事は他の選手が敗北している事から見ても明らかだった。彼女の反応速度はプロスポーツ選手や格 闘技の選手における反応速度とは比べ物にならない程だったからである。

『ウイナー、獅 燕!』

 試合動画を見ても さっぱり分からないという視聴者が多い事から、獅燕の強さが1位のチーフよりも目立っているのは明白なのである。チーフの強さは獅燕より劣っているかと言 うと…それも全く違う。彼の場合は獅燕とは違った強さを持っており、彼が獅燕よりも劣っていると一概に言えない。実際に対決した様子があれば映像を解析し て能力比較を行えるのだが、チーフと獅燕が直接対決したのは一度もない為、比べようがない―。

「次は私が相手にな ろう―」

 名乗りを上げたの は、当日エントリーで登録したバーテンダーの女性―。

「さっきの相手より は、手ごたえがありそうな気配がする…」

 獅燕は思った。彼 女の実力は下手をするとチーフよりも強いのでは…と。獅燕はチーフの試合を動画でしか確認した事がない。

「万が一負けたとし ても、それは運がなかったというだけだ。悪く思うな―」

 相手の方は本気で 倒そうと考えているらしい。ギャラリーの反応は五分五分、サプライズゲストの場合はプロフィールが公表されるのだが…彼女の場合は乱入扱いの為に戦歴は一 切不明である。獅燕に勝てれば奇跡…と言われる位に彼女の連勝記録は続いている。この現状を打破できるとすれば、チーフしかいない―と誰もが思っていた。

 

『ラウンド1…ファ イト!』

 お互いに接近、高 速とも言えるジャブで獅燕が牽制するのに対して、それを軽々と回避してハイキックを決める相手―。彼女のハイキックが決まると同時に、獅燕の体力ゲージが 大きく減少―。

「あのジャブを軽々 と回避するとは…」

「あの体力ゲージの 減り方だと、相手の攻撃力は4か5…スピードは互角である以上は素早さが5になっているのは確実か…」

「ひょっとすると、 ワンチャンスで勝てる可能性がある?」

 ギャラリーは対戦 相手が獅燕の体力を大幅に削った事で、勝てる可能性があるのでは…と思い始めていたのである。

「思ったよりも、強 い相手―」

 獅燕が若干だが焦 り始める。対戦相手にランキング1位のチーフを重ねていた訳ではないが、連勝中では初めての致命傷―。焦らないと言うのが嘘になる。

 その後も的確な攻 撃を捌ききれなかった獅燕がラウンド1を落とすと言う結果に。これを見た観客も、ワンチャンスで獅燕に勝利する事も可能なのでは…と思い始めていた。

「こちらも本気を出 すか…」

 ラウンド2、先に 動きを見せたのは獅燕の方だった。今まではパンチをメインにした技が多かったのだが、今度はローキック等も織り交ぜて相手に思う通りの動きをさせない。

「そうでなくて は…!」

 ローキックを放つ 一瞬の隙をついて、相手がローリングソバットを放つ。間一髪でガードには成功したが、体力ゲージの減りは獅燕が防御にポイントを入れていない分だけ大きい 事は間違いない。

「防がれた―?」

 相手がローリング ソバットをガードされた事に驚いていた。これは、本来であれば獅燕がガードではなく回避を誘導する為に放った技だったのだが、彼女が勝負を読み違えたのだ ろうか―。

「もらった!」

 獅燕はソバットを ガード後に出来た相手の隙を逃さなかった。彼女が放った渾身の正拳突きが相手を大きく吹き飛ばし、床に背中を叩きつける。その一撃を受けた後は、相手の動 きも鈍くなり、最終的にはタイムアップとなった。結果は、体力ゲージの残量で獅燕が勝利する―。

「お互いにスタミナ 的には互角―?」

「分からなくなって きたな」

「どちらが勝つのだ ろうか…この試合」

 ギャラリーも試合 の行方を予測する事が不可能な位―2人のスタミナは限界に近い物があった。格闘ゲームであれば、コマンド入力ミスのような展開もあるかもしれない。

「相打ちでもない限 りは、このラウンドで勝負は決まる―」

 そして、ラウンド 3が始まった。序盤は獅燕が防戦一方という流れだったが、タイムアップ直前では獅燕のカウンター攻撃が相手に直撃…というラウンド2と似たような流れにな る。しかし、ラウンド2と違ったのは―。

「もらった…!」

 ハイキックを警戒 していた獅燕が下段攻撃に対して無警戒だった事が、彼女にスライディングキックを決めさせる結果となった。

『ウイナー、ゲスト プレイヤー!』

 この瞬間にギャラ リーは数秒間、目の前で起こった事に対して驚きのあまりに言葉を失っていた。

 

「私が…負けた?」

 獅燕は、勝ち名乗 り後に歩いて更衣室へと入り、そこで初めて自分の連勝記録が止まったと言う事を実感した。

「これが、久々に感 じる敗北―」

 ロケテストや先行 稼働の初期では連敗記録を更新する事もあった獅燕、200連勝を超えた辺りでは敗北を感じる事もなかったのだが―予想外の相手に負けた事に対して獅燕は悔 しがった。その後、汗で濡れたコスチュームをビニール袋に入れて、新しい下着と着て来た上着に着替え、ゲーセンを後にした。

「シャワーを浴びる のは、家に帰ってからになりそう―」

 ゲーセンにシャ ワー室もなければ、近所に銭湯がある訳でもない。獅燕は家に帰るまではシャワーを我慢する事にした。汗でシャツが透けるのでは…という懸念よりも、汗の臭 いが心配の種だったが、消臭シャツを着ているので、その点は心配無用のようである。

 

「これが、勝利―」

 彼女は久しぶりに 感じる勝利の余韻に浸っていた。あの時に勝てていれば、日本代表に選ばれていたのかも…と思っていたが、それは既に過ぎてしまった事である。

「これが全ての始ま り―」

 ギャラリーの外で 事務員が試合の一部始終を確かめ終わると、彼女もゲーセンを後にしようと思っていたが…。

「その前に、あちら のゲームで汗でも流す事に―」

 彼女が向かったの は、何故か音楽ゲームのコーナーだった。汗を流すのであればファイティングアリーナでも…。

「これから向こうは どうなるのかな―」

 事務員はファイ ティングアリーナで無敵とも言われていた獅燕が敗北をした事、連勝記録がゲストプレイヤーに止められた事が新しいプレイヤーを呼びこむきっかけになるので は…と思っていた。

 

 数時間後、獅燕と 謎の人物が対戦した試合の動画が公式ホームページでも公開された。

『まさか、あの獅燕 が―』

『ゲーセンで直接見 て来たという人物からの情報では―』

 公開から1時間経 過辺りで1万再生を記録するという記録を樹立し、翌日の2日には公式ホームページでも10万再生を記録した。

『獅燕が無敵という のは都市伝説だった』

『他の格闘ゲームと 同じだな。特定のキャラだけが強いという訳ではない…と』

 一部の格闘ゲーム ではゲームバランスが取れておらずに特定のキャラだけが強いというケースがあるらしい。普通のアクションゲームであれば仕様やバグ等と言う事でスルーされ るようなケースだが、対戦格闘ゲームの場合はゲームバランスや対戦と言う意味でも特定のキャラだけが強い作品はごく稀なケースとも言われている。

『これで、ファイ ティングアリーナもプレイヤーが増えてくれれば…』

 獅燕の連勝記録が ストップした事は残念ではあるが、その一方で今回の一件は新規プレイヤーが増えるのでは…と考えている人も少なくはなかった。

 

 その後、動画サイ トでも同じ物がアップされ、こちらも公式と同様に10万再生を突破していた。動画をアップしたのはファイティングアリーナの公式スタッフで、動画サイト内 のファイティングアリーナチャンネルで公開されている物である。最初は公式サイトがサーバーダウンした時の非常時用として覆面スタッフが公開していた物 だったが、いつの頃からか動画サイト側が公式サイトに掲載されている物と同じ事を不審に思い、その後に色々と打ち合わせた結果…現在のような公式チャンネ ルでの公開になっている。

 

 その一方で、新規 のライセンス申請が増えだしたのも獅燕が連勝をストップしたのと同時辺りだった。平日であればパソコンでのエントリーは2通辺りだったのが、獅燕の連勝が ストップした日には30通にも増えていたのである。更には、スポーツ系サイトに国内の有名格闘家がファイティングアリーナに電撃参戦か…というニュースが 見出しになる位に話題となっていた。

「獅燕の連勝が止 まったのは非常に残念ではあるのだが、これも新しい風を起こす為には必要な事だった―と言う事か」

 忠勝の提案した作 戦は見事に成功した。彼女が勝ち続ける事は決して悪い事ではないのだが、ファイティングアリーナが他の対戦格闘ゲームと大きく違い、体感型という事も理由 の一つになっている。初心者狩り等を防ぐという部分で一定のポイント以上の差が出ている場合には対戦不可と言うルールも存在はするのだが…。

「これから、ファイ ティングアリーナに新しい風が吹く…」

 忠勝は、ファイ ティングアリーナの発展を運営委員会の入っているビルから景色を眺める事で祈っていた。

 

 8月3日、有名格 闘家が苦戦していく中で獅燕に変わる存在として注目を浴びる人物が存在した。彼女の名はランスロットというのだが…。