6:オートレース場 での決戦

 

《我々の祈りは、か つてブラックホールの使者に倒された伝説のヒーローを、遂に復活させたのである。全ての原点にして…列強―》

『その名は、電攻仮 面ライトニングマン!』

 劇場版でも流れた ナレーション、その途中を知っていたホワイトナイトが流れているナレーションに自分の声をアフレコして、列強の部分より後はその場にいた、ヒーロー軍団全 員で彼の名を叫んだのである。

「待たせたな。ここ からが、本当の戦いだ」

 ライトニングマン が叫ぶと、ヒーロー軍団が一斉に動き出した。初代ライトニングマンが現れた事で、彼らの士気も上昇し、劣勢だった状況を一気に押し返したのである。

 

「まずは、彼らを何 とかしてイクスライドをフォローしないと」

 アスナがブレイズ ハートにイクスライドを取り囲んでいる敵を誘導するように指示を出す。そして、誘導されてきた4体に対してアスナが指示を出した。

「ブレイズハート、 リニアナックル!」

 ブレイズハートの 右腕が変化し、超高速で放たれたロケットパンチが4体のライトニングマンのバリエーションを一気に撃破する。

 

「今度は、自分 が!」

 ブルーウィンドが ウインドブレードと肩に装着されたサーペントエッジを合体させた武器でライトニングマンのバリエーションを一刀両断にし、1体撃破した。

「先輩、危ない!」

 SFに出てくるよ うなシャープなデザインを持ったロボットがベースとなった、フリーズの強化型装甲ことナンバー9…。ブルーウィンドの背後を狙っていた1体を背中に搭載さ れているビット兵器で撃破する。

「まさか、自分の強 化型装甲に助けられる事になるとは…正直複雑ね」

 助けてくれたコス プレイヤーにはお礼は言うものの、フリーズ本人としては複雑な気持ちだった。

 

「次は、俺が決める か!」

 ホワイトナイト は、今まで使用していなかったフルパワーモードを発動する。発動時間は3分だが、1体を撃破するには十分な時間だろう。

「ナイトハンド!」

 フルパワーモード で変化した右腕を使った必殺技は、ライトニングマンのバリエーションを粉々にするだけのパワーを持っていた。

「どうやら、こいつ らはリモコンで動いているロボットのようだな…」

 中に人がいなかっ たのを不審に思ったホワイトナイトは、今まで使っていなかったシルバーセブンを使う事にした。

「こいつの残った データを保存して、リボルバーに送っておいてくれ―」

『了解した!』

 シルバーセブンが 残骸から残っているメモリーなどを保存して、リボルバーに転送を開始した。

 

 その他のヒーロー 達も得意技などでライトニングマンのバリエーションを撃破する。そんな中で、初代ライトニングマンが他のライトニングマンをリモコンで操っている本体を発 見していた。

「お前も同じライト ニングマンならば、本当の正義と言う物を知っているはずだ!」

『正義と言っても、 本来あるべき正義以外にもダークヒーローが持つ正義もある。全てがライトニングマンと同じ物を持っているとは限らないだろう―』

「確かに…私が伝え てきた正義と他のヒーローが持つ正義では異なる物であるのは間違いのない事実だろう。しかし、その正義は元々一つだった物だ!」

『いつまでも正義論 を語り合っていても時間の無駄だ。これで決着を付ける!』

 ライトニングマン と話をしていたのは、意外な事にライトニングマンの2号となったライトニングマンSSだった。この巡り合わせは神のいたずらだったのか―。

『シューティングス ターキック!』

「ライトニングキッ ク!」

 2人のキックがお 互いに交差する…。

 

 ダークエンジェル とイクスライドの戦いは続いていた。このままではイクスライドが不利なのでは…と言う状況で、誰かの声が聞こえたのである。

『お前の真の力は、 そんなものではないだろう!』

 何処からかライト ニングマンの声が聞こえた。次の瞬間にはイクスライドが輝き、周囲にいたヒーロー達もその光景に驚く。

『まさか、これ は…!』

 ダークエンジェル が恐怖する。登場するのが大分先のはずの武器が…。

「これは、ゴッドブ ラスター…?」

 イクスライドが手 に取ったのは、実際に本編で使われる物ではなく、クロスシステムで作り出したゴッドブラスターに近い武装だったのである。近い武装とは、ホーリーフォース のナンバー6であるショットが使うロングレンジビームキャノン―。

「い けぇぇぇぇぇっ!!」

 イクスライドが ゴッドブラスターの引き金を引くと、高出力のビームがダークエンジェルに向けて放たれた。この威力の前では強化型装甲のコピーでも歯が立たず、ダークエン ジェルの暴走は停止したのである。

 

 それから数分後、 これらは全てCG等を駆使して製作された事が何故かネット上のつぶやきサイト等で流れていた。ヒーロー速報では、特にCG等に関しては言及されていないは ずなのだが…。

「やっぱり、ホー リーフォースと同じような手法で黒歴史にするつもりね―」

 リボルバーは、あ る人物へと電話する。その後に事情を説明し、ネット上に拡散している偽情報の出所を抑えるように指示した。

『既に別の人物が特 定していたようで―少しの誤認情報は出たかもしれませんが、先程ウイルスを撃退した所です』

 リボルバーからの 電話に出たのは、ドラゴンの覆面だった。

「特定って…自分 は、つい数分前にミカドから情報をもらったばかりだけど―」

 リボルバーには訳 が分からなかった。偽の情報を流して黒歴史にしようと考えているらしい―という情報を聞いたのは、ドラゴンの覆面へ電話をかけようとしていた数分前の事で ある。それが、最小限で抑えられているという事は…既に数時間前には出所が特定されていない限りは不可能である。

『自分もメタトロン さんが作業をしている時にミカドさんから連絡が入って、複数の不正サイトが作られて、そこから情報が流れているらしい…と』

 どうやら、ドラゴ ンの覆面も何のウイルスを撃破しているのかはミカドの連絡が来てからだったようだ。それ以前にメタトロンが漫画喫茶に仕掛けられたウイルスを発見、それを 不思議な力で除去していたのである。

「本当に不思議な事 もあるものね―」

 リボルバーはドラ ゴンの覆面にサーバーの差し押さえと漫画喫茶に残っているデータの残骸の回収を要請、一連の事件は一部を除いて何とか解決したのである。

 

 その夜、リボル バーはメタトロンと言う単語が気になってネット上を調べた。その先でたどり着いたのは、個人の小説サイトのようだったが…?