×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

メ モリーランナー

 

西暦2009年、音楽業界は冬の時代を迎えてしまった。この世界は一 握りの政治家のお気に入りとなったアイドルだけが歌番組で歌を歌う事、CDショップでCDを売る事を許され、それを認められなかった大勢のアイドルや歌手 は歌を歌う事を辞めた。それでも一部の歌手が歌を捨てずにメッセージを伝えようとしたが、彼らの楽曲は不当とも言えるような重い税金をかけられ、一部のア イドルグループの引き立て役となってしまう。

 

動画サイトでは、有名作家の曲が超有名アイドルの楽曲と酷似している 事が原因で業界を追放される危機となっていた。この原因となっているのが、一部の政治家と手を組んでいると思われる超有名アイドルグループ。彼女達は、莫 大な資金力を利用して違法とも言えるような裏工作を展開しているのだと言う話が聞かれている。これらの話が表に流れないのは政治家達が裏で政治献金を受け ている事が理由の一つとなっている。しかし、これとは別の理由も存在する。それは、超有名アイドルの支払っている莫大な税金で1000兆円規模とも言われ る赤字国債、それをわずか数年で半分近くを1グループの稼ぎだした税金で償却しているという事である。

普通であれば、1アイドルに1000兆円規模とも言える赤字国債が償 却できるとは考えにくい…と野党も反発、超有名アイドルによる日本経済回復は不可能と言われていた。しかし、実際はスタートして1年で100兆円規模の赤 字国債償却に成功する等の成果を残し、日本中に衝撃を与えた。

 

しかし、この衝撃は他の業界にも影響を及ぼしていた。超有名アイドル とタイアップする作品が急激に増えだし、それ以外のタイアップ作品は売れないと言う流れになってしまったからである。超有名アイドル以外は音楽業界に不 要、そう判断されてもおかしくはない政策は山場を迎えようとしている。

その状況を重く見たゲーム会社は、メッセンジャーと呼ばれる生身の宅 配業者に楽曲を保存したメモリースティックを託し、それを動画サイトのビルへ直接届けると言う案を動画サイト側へ提案、その提案は動画サイト側の意見を取 り入れる事で、メモリーランナーという新業種としてスタートした。

 

『サイハ、あなたの 目的は動画サイトのビルにメモリースティックを届ける事。途中では楽曲を奪う為に雇われた用心棒が待ち受けているかもしれない。それでも、音楽業界の為に も―』

 ビルの屋上でタン クトップにスパッツ、耳には特殊な無線型ヘッドフォンをした一人の女性が、オペレーターの指示を聞いていた。

「ネットで流すと、 楽曲のデータを盗み見て管理局に登録される―楽曲を1曲発表するのにもアナログな手段を使うとは…世の中も変わったのね」

 サイハと呼ばれた 女性は思った。ネットに上げただけで他人が楽曲を盗み見て、それを自分の曲として登録、本来の作曲者が盗み見た人間から楽曲の盗作扱いを受ける―そんな音 楽業界になった事を彼女は許せなかった。

「これも、正しい音 楽業界を取り戻す為の戦いなのかもしれない―」

 そして、サイハは ビルからビルへと飛び移りながら目的地である動画サイトのビルへと向かう…。

 

『ハイパーグローブ とブーツを作ってみた』

 突如として、ゲー ム画面とは別の画面が現れ、そこには手作りしたと思われるグローブとブーツの写真が映し出されていた。

「皆さん、こんにち は。技術部でもとんでもない物ばかり作っている人です。今回は、最近プレイして面白そうなゲームだなぁ…と思ったメモリーランナーに登場する―」

 写真が写っている 画面のまま、先ほどのサイハとは別の三つ編みにメガネ、作業着という女性が現れて進行役をする。彼女が技術部の中でもとんでもない発明ばかりをする蒼騎飛 翔(あおき・ひしょう)である。

『またお前か www』

『技術部タグ特定余 裕でした』

『メモリーランナー のグローブなんて本当に作れるのか?』

 そんなコメントが 画面を埋め尽くす。流石に弾幕と呼ばれる状態ではないが、大体は飛翔のトンデモ発明では…と予測していた視聴者が大半だった。

 

「実際に、このグ ローブで壁に張り付く事が出来るのか、実験しようと思います。これは地元の消防にも許可を得てやっている事ですので、皆さんは絶対に真似をしないでくださ いね」

 相変わらずの飛翔 の台詞に、視聴者のコメントも―。

『真似は不可能だと 思う』

『相変わらずのノリ でワロタ』

『wwwwww』

 そんなコメントで 画面が埋め尽くされる。

「このグローブと ブーツがあれば、ビルの壁等も…ご覧の通り!」

 グローブで壁に張 り付き、その後に飛翔はブーツで垂直に壁を登っていく。

『特許取れるレベル じゃねぇか』

『これだけの物を公 開して大丈夫か?』

『彼女に常識は通用 しないのか』

 この動画を見てい た一人の男性は何かを確信していたようだった。

「彼女ならば、あの 現状を打破出来る存在になれるのかもしれない…」

 彼は動画サイトで プロデューサーと呼ばれている人物でもある。